え、もう二週間?と思うくらい充実しています。
今はバヤンというロシアの楽器の左側を調整しています。
実に複雑な仕組みに頭がこんがらがりそうだけれど、こんな楽器を作りあ
げた人物について考えているとうっとりとしてしまいます。
私に出来ることと言えば、ただ調整するのみです。
本当にアコーディオンを作る職人さんはすごい、としか言い様かありませ
ん。
楽器はTITANOというメーカーの古いもので、中のネジやパーツから
想像して60年代くらいの楽器なのかな?
バヤンについてもTITANOについてもあまり知識がないので、ごめん
なさい。いつの頃のものなのかは分かりません。
昨日はちょうどバンドネオンの最終調整してるのを一日中見学することが
出来て、調律しながら細かなメンテナンス、リードの調整、調律をしてい
るところを間近で眺めていました。
一音一音、全ての音、全てのピッチを妥協なく仕上げていく様は見ていて
驚くばかりです。
イタリアの人たち、彼らは決して器用な民族ではないのです。作業を見て
いると例えば東大阪の工場の職人さんのような機械以上の狂いなき正確
さ、というようなものはありません、
ただ、彼らはものすごく熱意があるのです。
一見荒っぽくも見える作業風景が続きますが、きちんと仕上がっていきま
す。
一日朝8時から始まって、作業が終わったのは19時前。
仕上がったバンドネオンを抱えて、私に"viene"と言うのでついて
いくと、そこには仕上げを待っていたお客さまがいらっしゃいました。
先ほどまで丹念にメンテナンスされていた楽器をその方が演奏すると、と
ても良い音が響きました。
なんだか、この一日のことや、ずっとうまく楽器が直らず細かなメンテナ
ンスを繰り返していたことや、今ちゃんと音は響いてお客さまの手に楽器
があることとかがグルグルと回ってなんだか涙が出そうになりました。
あわわ、本当に涙が落ちてしまう。
まばたきで誤魔化しながらお客さまを見送りました。
1 件のコメント:
僕も初めて調律を志したとき、一つ一つの作業がわかっていった時、涙が出てしまいました。ずっと試行錯誤してたのが、ほどけていく感じ。
僕も涙をごまかしちゃったけど、泣いていいと思うよ。楽器を思う気持ちはみんな同じだもん。
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